更新予定とか蛇足とか解説とか。
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【二十億光年の孤独を聞いていたら頭が爆発した】
何十年、何百年、何千、何万年、何億年、私は孤独だった。
闇の中でなにもできない私はただ世界のはじまりの歌を歌っていた。最後は嘘。
私がいくら長生きでも、世界の始まりは見ていないから。神ではないのだから。
悲しみが広がっていく。孤独の宇宙が広がっていく。不安が、寂しさが、宇宙に膨らむ。
孤独で宇宙はひずんでゆく。求めるものなんてありすぎてわからない。不安で不安で不安で!
だれかと引き合いたい呼び合いたい!
零れた涙は光って宇宙に散らばった。それは星、誰が決めたかなんて知らないけれど星。輝きを放つ。
光と闇の中で私は孤独を歌いつづける。あいたくて、求めていて、不安で!
星々はちかちか私を嘲笑う。いえ、星なんてない?全部が私?産みだしたのも答えたのも笑うのも私自身?
闇が包み込む。この闇は誰が?放たれた光は?
万物の母という言葉がいつしか私を取り囲んだ。違う、確かにそれを見守ったのは私、でも、それを!歌は何処から!
そもそも言葉はなぜ、いつのまに、どうやって?
私は?僕は?朕は?妾は?あたしは?拙者は?うちは?俺は?某は?我は?Voc.は?
何時誰に産み落とされたのだ。
孤独だ、孤独だ。
嗚呼神よ、私を作り出した者よ、教えて。
私はただ一人で孤独を歌う。
自分ではない誰かに、逢いたいから。
それ以外に何も出来ないから。
歌い続けて二十億年、私はとうとう会うことが出来た。私を作ったヒトに!教えて!
「なに、お前、見えてねえの?」
闇と私しかない宇宙に、私以外の声がした。
「お前の歌で、お前の涙で、ここまで宇宙は広くなったんだよ」
だから何、私しかいない宇宙に、何の意味が。
「やっぱ見えてなかったのかよ……おい、ウォーカー」
「はいはいMZD。で、えーと貴女」
私が……なにか
「貴女がいなければ宇宙に光はなかったのです、お気づきになりませんでしたか」
気づくもなにも、闇以外に私しかいないのだからそうなのでしょう
「ではその光に、星に命があったことは」
「その星にもまた命ある生物が生まれていたことは?」
まさか……そんな
「彼らは小さな球の上で眠り起きそして働き、孤独に苛まれています」
「他の星に仲間がいるか期待して、ひずむ宇宙の中で求め合い、膨らむ宇宙に不安を抱いてる」
「万有引力なんて、あなたの孤独が生み出した引き合う力なんですから」
孤独を消し去ろうとする二人の声、しかしならどうして今の今まで?
「神とて万能じゃねえよ」
「今の今まで手を出せずにいたのです」
そうなの、二十億年後回しなのね
「詫びも兼ねて……今度やる祭、お前も参加しないか?」
祭?いいの?でも、一人は嫌。
「まぁ問題ねえよ」
「なんなら私達も、一緒に出ましょうか?」
あなたたちが?
「俺じゃなくて……こいつらだ」
ウォーカーに、だれかに、なにか。
でも、嫌いじゃないし、これから一人じゃないならいくらでも。
「じゃあ紹介するときの名前がいるからな……星々の光を作ったっつーことで、光のモト、光子、フォトンなんてどうよ」
ええ、喜んで。
私はその祭に出て、あの時の喜びを歌った。孤独に襲われ、孤独を恐れる引力に付き従った末の喜びを。
その時は、その一瞬の喜びが永遠なのかと思っていた。
宇宙は収縮する。孤独は失われたから。
私が見ているから、少なくとも一人じゃあないはずなの。
孤独はなくなった。はずだった。
私のおおよそ2分に圧縮された喜びの歌を歌い終わってからしばらくして、世界はあっけなく一度終わり、始まっていた。
私以外の孤独の、世界のはじまりの歌によって。
私が宇宙でぼけている間に、最後の審判もなにもかもが終っていた。
後の祭り、兵共は夢の跡、喜びを知った分の悲しみが攻め寄せる。
構築、分解、分解、分解、残ったパーツは孤独。
結局、始めから、なにもなかったのよ。
また、ただの孤独に戻っただけ。
懐かしい音楽も星々も総て、いらない。
なんてね。
地球から二十億光年離れた場所で、私は小さくくしゃみをした。
――――――――――――
ニエンテの人気に嫉妬。
初音ミクの激唱にも嫉妬。
その辺をフォトンさんにぶちまけていただきました。
実はみんな寂しくて死にそうなくらいだったんじゃない?みたいな。
谷川俊太郎「二十億光年の孤独」一部引用・インスパイア。
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